ハウジング研究の意義

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ハウジングに対する関心は,人間の生活に対する基本的要求のひとつである「住」への要求によるところが大きいと思われる(早川;1988)。それにもかかわらず,居住に関しては狭小な住宅や過密なミニ開発地での住宅群など,わが国の大都市における住宅状況は低水準のままであり(日本住宅会議編;1989),また一方では,このような住宅状況下において住宅と住環境が家族の営む家庭生活にどのような影響を与えるのかについて,建築学や家政学では研究の蓄積がなされている(早川;1979,1984,中島;1988)。ところが,地理学においてはこれまで住宅状況についての地理的な分布を明らかにし,問題地区を確定することはあっても,政策や都市計画などにより形成された住宅環境がもたらす都市構造への影響や,上記のような住民の属性や生活への影響などについては関心が低かったといわざるを得ない。ここに都市における住宅問題に対する地理学の問題解決的態度が,新たに要求される。
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前述のように,ハウジング研究は学際性・総合性が求められ,地理学的研究においても共通するところがある。その学際性と総合性の故に非常に奥深い研究分野であり,地理学的なハウジング研究をことさらに強調するものでもない。
わが国の地理学においてはミクロな地域スケールでの資料的制約が大きく,住宅供給に関する地理学的研究にはいまだ不十分さが感じられるが,居住者側については居住状態や居住特性などに関して国勢調査などの資料により分析が可能である。
このような状況のもとでの地理学的ハウジング研究は,その応用面において都市計画や住宅政策などの行政に対して有効な情報を提示できると同時に,それらの基本的資料となる情報を利用したプランの作成をすることを可能とさせるものである。このように,現代の都市問題に対して問題地域や問題点の指摘 を行うことによって,短期的な対症療法を行う可能性も大いに残されており,さらに,長期的には需要者の住要求の質を向上させたり,ハウジング研究の成果を都市計画・住宅政策に応用させることが重要であると考える。